考古学における放射性炭素年代測定の基礎知識
近年の技術革新は目覚ましく、放射性炭素C14を用いた、年代測定法の精度がかなり上がっています。実際の測定には、時間と、費用を要しますが、埋蔵物の年代測定の決め手になりつつあります。その仕組みを簡単に説明します。
炭素原子には、同位体として 自然界にはC12,C13,C14が存在します。存在するほとんどのC14は、宇宙からくる高エネルギー宇宙線が、地球の大気を通過するときに、窒素原子N14に衝突して、核反応を起こし生成されます。このC14は、自然界では不安定で、半減期5730年で分解して、窒素原子N14へと変わっていきます。
2酸化炭素は、植物の光合成の材料となり、炭素が植物に吸収されます。この取り込まれた炭素は、C12,C13,C14が存在します。植物が枯れると、新たに炭素は植物に取り込まれません。したがって、C14の量を測ると、その量から、枯れた年代が半減期を基準に推定できるわけです。
半減期が約5700年なので、C14は、年代が古すぎると使えません。およそ数十万年程度と考えられています。また、1年で枯れる植物に最も最適とされます。
この測定法の開発者は、ウィラード・フランク・リビー(Willard Frank Libby、1908年12月17日 – 1980年9月8日)はアメリカ合衆国コロラド州グランドバレー出身の化学者で、その功績より1960年のノーベル化学賞受賞者となりました。
この測定法の欠点は、大気中のC14濃度は、宇宙からくる宇宙線の量により変動するため、理論値だけで年代を推定すると、誤差が大きすぎることでした。近年、日本の福井県の水月湖から、過去7万年分の年縞が発見され、1年ごとの補正が可能となりました。実際の報告書には、誤差は統計誤差を用い、 “±” と記されます。
年縞とは、長い年月の間に湖沼などに堆積した層が描く特徴的な縞模様の湖底堆積物のことで、1年に1層形成されます。縞模様は季節によって違うものが堆積することで、明るい層と暗い層が交互に堆積することでできるものです。
この2つの組み合わせを考古学に用いることで、発掘調査の年代測定が劇的に変わってきています。土器に付着した植物片を用いて、遺物の年代が誤差数10年程度で、分かるようになってきました。
淡路島、松帆4号銅鐸の内部付着植物の炭素年代測定結果
4号銅鐸は、2重入れ子状態で発掘され、さらにその内部の植物のサンプルでの測定で、埋納当初の状態を保存している確度が高いと考えられています。その結果紀元前350年という結果が出ています。
ちなみに、この頃の中国は、秦の始皇帝が中国を統一する前の戦国時代です。日本では、銅鐸の工房跡が、唐子鍵遺跡、東奈良遺跡で発見されており、金属材料をどこから調達したのか?作成工房は、この2つなのか?といった疑問を投げかけています。
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